トロムソ･オーロラ紀行 #2 なぜトロムソ？

～Looking For The Northern Lights～ 

北半球でオーロラが観られるエリアは大別して６つ。グリーンランド、アイスランド、北欧、ロシア、アラスカ、カナダが挙げられます。うち北欧はノルウェイ、スウェーデン、そしてフィンランドとなるので、選択肢はそれなりに多いですよね。ただ、前述したように僕の心はより遠いところに向かうことを求めていたので、それならばやはり北極圏くらいには足を踏み入れたい、具体的に北緯66度33分より北に滞在したいと思うようになりました。そしてこの視点を外すこと無くコスト面やアクセスのしやすさを追求していくと、北緯69度40分に位置するスカンジナビア半島北部の“トロムソ”一択に絞られていくのです。トロムソという可愛らしくも不思議な語感と美しい景観を兼ね備えたこの小さな都市は、北欧のパリと呼ばれるほどの魅力ある街なのですが、最大の問題がひとつだけありました。北極圏とは言えノルウェイ海の沿岸部であるこのエリアは、メキシコ湾流の影響によって湿った暖かい空気が流れ込むことで曇天もしくは雨が降りやすい、つまりはオーロラ観測にとって一番重要な「晴天率」があまり高くないのです。この事実には正直悩まされました。でも、人間とは変わった生き物です。今回の旅でオーロラが観られるか観られないか、それをこれからの人生と重ね合わせつつ賭けてみたい、なんておかしな気持ちが芽生えてきたのです。