All Things Are Impermanent

世界は一瞬たりとも同じ状態を留めることは出来ない。

トロムソ・オーロラ紀行 #5 ノルウェーの森

~Looking For The Northern Lights~ 

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ノルウェイと言えば「ノルウェーの森」ですよね。ちょっと細かいですが、村上春樹の小説はノルウェイの森」という表記で、ビートルズの曲のほうがノルウェーの森」という表記です。それはそれとして、この曲は1965年の12月にリリースされたビートルズ6枚目のオリジナルアルバム「ラバー・ソウル」のA面2曲目に収録されています。原題が「Norwegian Wood(This Bird Has Flown)」というタイトルなのですが、もちろん森に住む鳥の生態について歌ったものではありません。すごく乱暴に言っちゃうと “ああ、あの娘とやれなかったなあ” って歌なんです。初めて聴いた時は歌詞の意味など分からなかったけれど、邦題が「ノルウェーの森(鳥は飛んだ)」ですから、その曲調とも相まって、冬の曇り空のもとノルウェイの凛とした針葉樹林から一羽の鳥がぱたぱたぱた!って飛び立つ映像をイメージしたものです。80年代後半、村上春樹の小説によってノルウェーの森」が今まで以上の話題となり、この対訳は間違ってる!なんて話がクローズアップされ始めましたけど僕はずっと間違ってなんかない!って思ってましたよ。なぜなら、中学生の僕が当時思い浮かべたイメージとこの曲の本質は決してかけ離れたものではないと思うから。そう、日本語タイトルにある「森」という言葉によって10代少年の想像力や世界観がどれだけ膨らんでいったことか。今でもその時の心象は消えずに残っています。この曲は “あの娘とやれなかったなあ” って歌ですけど、“あの娘とやれなかったなあ” ってことだけで成り立っている歌でもありません。だから、鬼の首でも取ったように、正確な対訳は ノルウェー産の材木” なのである、なんて声高に言われても困りますよねえ。まあ、そうは言っても、トロムソのホテルに着いた初めての夜、ノルウェー産の家具に囲まれながらノルウェーの森」を聴いて別のイメージを膨らませていた僕もいるのですが。

 


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