All Things Are Impermanent

世界は一瞬たりとも同じ状態を留めることは出来ない。

恐るべし15歳 弘田三枝子 <ヴァケーション>

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V-A-C-A-T-I-O-N! 弘田三枝子、なんと15歳での録音である。一聴すれば分かってもらえると思うが、これはとても15歳のノリとは思えない。小学生の頃から米軍キャンプでジャズを歌っていたとは言え、ビートの捉えかた、鋭いリズム感、強くパンチのある歌唱、特にフェイクの入れ方に関しては桁違いのセンスを見せつける。全てが衝撃なのだ。一般的にカヴァーヴァージョンがオリジナルを超えることは珍しいが、この曲は何と言うか、全てにおいて原曲を凌駕している。それにしても、どんな過程を経てこのヴォーカルデザインに辿り着いたのだろう。僕は思う。コニー・フランシスのオリジナルを聴きつつも、弘田なりに歌ってみたらこうなった。そう、さほど深くは考えなかったのではないだろうか。無自覚の自覚、まさに天才である。時代は欧米のポップスをカヴァーするのが大ブーム。中尾ミエ伊東ゆかり、園まりといった渡辺プロダクションの三人娘らと共に「ミルクティーン歌手」などといった呼び名が付けられたらしいが、この歌唱のどこがミルクであろう、正真正銘のリズムダイナマイトである。

◆ 作詞作曲:Connie Francis/ Hank Hunter/ Gary Weston(日本語詞:漣健児)
◆ 編曲:大沢保郎
◆ 演奏:宮間利之とニューハード・オーケストラ
◆ 発売:1962年(昭和37年)10月